はじめに:SUPボード選びの重要性
SUP(スタンドアップパドルボード)を始める際、あるいは次のステップへ進む時に、最も重要なのが「SUPボード選び」です。
SUPは、「水上クルージング」「SUPサーフィン」「SUPフィッシング」「SUPヨガ」など、遊び方の幅が非常に広いことにあります。
しかし、選択肢が多いからこそ、自分の用途やレベルに合わない不適切なボードを選んでしまうと、上達しないばかりか「全然進まない」「グラグラして立てない」といった挫折の原因になりかねません。
「とりあえずネットで安いボードを買ってみようかな…」と考えている方、ちょっと待ってください!
SUP歴10年、数々の海や湖で様々なボードに乗ってきた僕が、あなたの体格・レベルに合った最適なボード選びを全力でサポートします。
このガイドでは初心者の方にもわかりやすく、インフレータブル(空気注入式)とハードボードの違いから、用途別のボードの種類、適正浮力(リッター)の計算方法、素材による価格の違いまで、SUPボード選びに必要な全知識を網羅しています。
「自分に合ったSUPボードがわからない」「次はどんなボードにすればいいのか迷っている」という方は、ぜひこの記事をブックマークして参考にしてください。
まず決めるべき2つのタイプ(構造の違い)
SUPボードの形(シェイプ)を選ぶ前に、まず最初に決断しなければならないのが「ボードの構造(タイプ)」です。
サーフボードと異なり、SUPは全長が3メートルを超える巨大な道具です。
そのため、「自宅に保管できるか?」「車に積めるか?」という物理的な制約がボード選びの最大の決定打になります。
SUPボードは大きく分けて、空気を入れて膨らませる「インフレータブル」と、従来のサーフボードと同じ硬い素材の「ハードボード」の2種類に分類されます。
それぞれの特徴を理解して、あなたのライフスタイルに合う方を選びましょう。
1. インフレータブルボード(空気注入式)
現在、SUP市場の主流となっているのがこのタイプです。PVC(ゴムのような素材)で作られており、使用する時に専用ポンプで空気を入れ、使い終わったら空気を抜いて畳むことができます。
- 特徴: 特殊な繊維構造(ドロップステッチ)により、空気を入れるとカチカチに硬くなります。
- 保管・移動: 空気を抜けば大きなバックパック・リュック1つに収まります。軽自動車や電車での移動、マンションでの保管に最適です。
メリット:
- 場所を取らない(これが最大のメリット!)
- 柔らかい素材なので、身体にぶつかっても怪我をしにくい。
- 岩などに当たっても割れにくく、耐久性が高い。
デメリット:
- 乗る前に毎回空気を入れる作業が必要(手動だと約10〜15分)。
- ハードボードに比べると、どうしても少し「たわみ」が出るため、スピードや波乗り性能は劣る。
- 厚みがあるため、風の影響を受けやすい。
2. ハードボード(エポキシ・カーボン等)
従来のサーフボードと同様に、EPSフォーム(発泡スチロールの核)を樹脂やカーボンでコーティングして固めたボードです。空気を入れる手間がなく、最高のパフォーマンスを発揮します。
- 特徴: 表面がツルツルしており、非常に硬く、水流を滑らかに受け流します。
- 保管・移動: 折り畳めないため、3メートル近いボードを置くスペース(ガレージや軒下)と、車の上に積むためのキャリアが必要です。
メリット:
- 準備不要。海に着いたらすぐ乗れる。
- 「たわみ」がゼロなので、漕いだ力がダイレクトに伝わりスピードが出る。
- レール(ボードの端)が薄く加工できるため、波乗りの性能が圧倒的に高い。
デメリット:
- 保管場所の確保が困難(エレベーターに乗らないことも多い)。
- 衝撃に弱く、ぶつけるとヒビが入るため修理が必要(リペア)。
- インフレータブルに比べて価格が高額になりがち。
【比較まとめ】どっちを選べばいい?
SUPボードの種類と特徴(カテゴリ別)
SUPボードは大きく分けて5つのタイプに分類できます。
それぞれに特徴があり、海・湖・川など遊ぶフィールドや、「のんびりしたい」「速く漕ぎたい」「波に乗りたい」といった目的によって適したボードが異なります。
まずは各タイプの基本的な特徴を理解し、自分のやりたいことに合ったカテゴリを見つけましょう。
1. オールラウンド(All-Round)
SUPボードの中で最もポピュラーなタイプで、初心者の最初の一台として選ばれることが圧倒的に多いモデルです。
サーフボードでいう「ファンボード」のような立ち位置です。
- 長さ: 10’0″〜11’0″(約305cm〜335cm)
- 特徴: ノーズ(先端)とテール(後端)が丸みを帯びており、全体的に幅が広く作られています。
メリット:
- 安定性抜群: 初めて乗ってもすぐに立てるほどグラつきにくい。
- 多用途: クルージング、釣り、小さな波での波乗り、ヨガなど、何でも平均点以上にこなせます。
- 家族で楽しめる: 子供や愛犬と一緒に乗るタンデム(2人乗り)も可能です。
デメリット:
- 特化した性能(スピードや鋭いターン)は期待できません。
2. ツーリング(Touring)
「もっと遠くへ行きたい」「長い距離を楽に漕ぎたい」という方におすすめのタイプです。オールラウンドボードからのステップアップとして人気があります。
- 長さ: 11’0″〜12’6″(約335cm〜381cm)
- 特徴: ノーズが鋭く尖っていて(ポインテッドノーズ)、全体的に細長い形状です。
メリット:
- 直進性が高い: 一漕ぎでスーッと長く進み、左右に振られにくい。
- スピード: 水の抵抗が少ないため、楽にスピードが出ます。
- 積載能力: 荷物を積むためのバンジーコード(ゴム紐)が充実しており、キャンプ道具などを積んでの冒険(SUPキャンプ)も可能です。
デメリット:
- オールラウンドに比べると少し幅が狭くなるため、初心者は最初だけバランスを取る練習が必要かもしれません。
3. SUPサーフィン(Surf SUP)
波に乗ることに特化した、操作性重視のボードです。ショートボードやロングボードのように、波の斜面を滑り降りたりターンを決めたりするための設計になっています。
- 長さ: 7’0″〜10’0″(約213cm〜305cm)
- 特徴: 短くて薄く、レール(ボードの端)の形状が波に食い込むように設計されています。ロッカー(反り)も強いです。
メリット:
- 高い操作性: 波の上で自在にターンやマニューバを描くことができます。
- 波キャッチ: パドルを使うため、通常のサーフィンよりも早く波を捕まえられます。
デメリット:
- 安定性が低い: 浮力が小さいため、立っているだけでもバランス感覚が必要です。
- 直進性が低い: まっすぐ漕ぐのが難しく、クルージングには不向きです。

4. レース(Race)
「誰よりも速く漕ぎたい」「大会に出てみたい」「トレーニングとしてガッツリ漕ぎたい」というアスリート向けのボードです。
- 長さ: 12’6″(約381cm)または 14’0″(約427cm)
- 特徴: 極端に細長く、カヌーのような見た目をしています。水の抵抗を極限まで減らした設計です。
メリット:
- 圧倒的なスピード性能。
デメリット:
- 幅が非常に狭く(20〜26インチ程度)、静水面でも立つのが難しいほど不安定です。初心者にはおすすめできません。
5. ヨガ・フィットネス(Yoga / Fitness)
水の上でヨガやフィットネスを行うために特化したボードです。
- 長さ: 10’0″〜11’0″
- 特徴: 幅が広く、デッキパッド(滑り止め)が全面に貼られています。中心のハンドルが邪魔にならないようフラットに埋め込まれていることが多いです。
メリット:
- まるで水上のマット。安定感があり、寝転がっても快適です。
デメリット:
- 幅広で水の抵抗が大きいため、長距離を漕ぐのには向きません。
レベル・目的別:最適なボードの選び方
SUPボード選びで最も失敗しやすいのは、「自分のスキルレベルや目的に合わないボードを選んでしまうこと」です。
見た目がカッコいいからといって、いきなり上級者向けの細いレースボードを買えば、立つことすらできずに挫折します。
逆に、慣れてきたのに初心者用の大きすぎるボードに乗り続ければ、「重くて進まない」「波に乗れない」と楽しさが半減してしまいます。
ここでは、あなたの現在のレベルと、これからやりたいことに合わせた最適な選択肢を提案します。
初心者(初めての1本・SUP歴0〜1年)
「まずは水の上に立つ感動を! 安定性がすべて」
初めてSUPを購入する方にとって、最優先すべきは「落ちずに楽しめる安定感」と「扱いやすさ」です。ここで無理をして不安定なボードを選ぶと、SUPそのものを嫌いになってしまいます。
おすすめのボードタイプ:
- インフレータブル・オールラウンドモデル
推奨サイズ目安:
- 長さ:10’6″〜11’0″(約320〜335cm)
- 幅:32インチ(約81cm)以上
選ぶポイント:
- 幅の広さ: 32インチ以上あれば、初めての人でも比較的すぐに立てます。
- 厚み: 体重がある男性なら厚さ15cm(6インチ)、女性や軽量な方は12cm(4.75インチ)を選ぶと風の影響を受けにくいです。
- セット販売: パドル、ポンプ、リーシュコードがセットになった「オールインワン」がコスパ良し。
中級者(ステップアップ・脱初心者)
「もっと遠くへ、あるいは波乗りへ。スタイルが分岐する時期」
基本的なパドリングができ、落水せずに自由に方向転換ができるようになったら、自分が「SUPで何をしたいか」を明確にする時期です。オールラウンドボードでは物足りなさを感じ始めるでしょう。
ここからは道が2つに分かれます。
【A:ツーリング・冒険派】もっと速く、遠くへ行きたい
- おすすめ: インフレータブル・ツーリングモデル
- 特徴: ノーズが尖っていて直進性が高く、オールラウンドより少し長い(11’6″〜12’6″)。
- 理由: 水の抵抗が少なく、少ない力でスイスイ進むため、数キロ先の対岸や無人島を目指すような冒険が可能になります。
【B:SUPサーフィン派】波に乗りたい
- おすすめ: ハードボード(SUPサーフ) または 薄型インフレータブル
- 特徴: 短め(9’0″〜10’0″)で、厚みが薄く、レール(端)が波に入りやすい形状。
- 理由: 本格的に波に乗るなら、インフレータブル特有の「たわみ」や「厚み」が邪魔になります。波のフェイスを滑る感覚を味わうなら、思い切ってハードボードへの乗り換えを検討すべきタイミングです。
上級者・スペシャリスト
「性能を極限まで引き出す。素材にもこだわる」
特定のコンディションで最高のパフォーマンスを発揮するための、プロスペックに近い道具選びになります。ここでは「カーボン」などの高級素材が選択肢に入ってきます。
おすすめのボードタイプ:
- レース: カーボン製レースボード(幅22〜25インチ等の極細ボード)。究極のスピードを求めます。
- ハイパフォーマンスサーフ: カーボン/エポキシ製ショートSUP(7’0″〜8’5″)。ショートボードのような鋭いターンを可能にします。
選ぶポイント:
- 汎用性は捨てて、「その日のコンディション」に特化したボードを複数所有する(クイーバーを持つ)段階です。
サイズ選びの科学:長さ・幅・厚み・容量(リッター)
デザインや価格だけでボードを選んでいませんか? SUPボード選びにおいて、「自分の体格に合った適正サイズ」を知ることは、デザインよりもはるかに重要です。
サイズが合わないボードは、どんなに高価なモデルでも「グラグラして立てない」「沈んでしまって進まない」という悲劇を招きます。ここでは、失敗しないための「サイズ選びの方程式」を解説します。
1. 適正浮力(リッター数)の計算式
サーフボードと異なり、SUPは「常に浮いていること」が大前提です。そのため、必要な浮力(ボリューム)は非常に大きくなります。
初心者が快適にクルージングを楽しむための黄金の計算式はこれです。
- 推奨ボリューム = (あなたの体重 + 荷物の重さ) × 2.0 〜 2.5
例えば、体重70kgの人が、水やスマホなどの荷物(約2kg)を持って乗る場合:
- (70kg + 2kg) × 2.0 = 144L(最低ライン)
- (70kg + 2kg) × 2.5 = 180L(安心ライン)
つまり、この方の場合は「180リットル前後」の浮力があるボードを選べば、水面にしっかりと浮き、安定してパドルを漕ぐことができます。
- ポイント: 初心者のうちは「大は小を兼ねる」が鉄則です。計算結果よりも数値が大きい分には安定感が増すだけなので問題ありませんが、小さいとバランスを取る難易度が跳ね上がります。
2. 幅(Width)の選び方:32インチの壁
ボードの幅は「安定性」に直結します。
初心者・安定重視:32インチ(約81cm)以上
- これが初心者の「絶対的な基準」です。32インチあれば、初めての人でも比較的簡単に立つことができます。ヨガや釣りをする人もこのサイズを選びましょう。
中級者・スピード重視:30インチ(約76cm)以下
- 幅が狭くなると水の抵抗が減り、スピードが出やすくなりますが、左右にグラつきやすくなります。レース用やツーリング用はこの細さになります。
「たった2インチ(約5cm)の差なんて…」と侮ってはいけません。 水上での2インチの差は、地面でのスタンス幅の違い以上にバランス感覚に影響します。迷ったら広い方(32インチ以上)を選んでください。
3. 厚み(Thickness):12cm vs 15cm
主にインフレータブル(空気注入式)ボードにおける選択肢ですが、厚みは「剛性」と「風の影響」に関わります。現在は以下の2サイズが主流です。
厚さ 12cm(4.75インチ):軽量・波乗り向け
- 重心が低くなるため安定しやすく、風の影響を受けにくいのがメリット。
- ただし、体重が重い人(75kg以上目安)が乗ると、ボードが「くの字」にたわんでしまい、足元が水に浸かる可能性があります。
- おすすめ:体重が軽めの方、女性、子供、波乗りをしたい方。
厚さ 15cm(6インチ):体重重め・クルージング向け
- 圧倒的な浮力があり、体重が重い男性が乗ってもビクともしない剛性があります。足元が濡れにくく、荷物をたくさん積んでも沈みません。
- 重心が高くなるため少しフワフワした感覚になりますが、現在の主流はこちらです。
- おすすめ:体重75kg以上の方、キャンプ道具を積みたい方、絶対に濡れたくない方。
4. 長さ(Length)
基本の長さ:10’6″(約320cm)
- これが世界標準のオールラウンドサイズです。操作性と直進性のバランスが最も取れています。
- これより長い(11フィート〜)と「直進安定性(曲がりにくい)」が強くなり、短い(9フィート〜)と「回転性(クルクル回る)」が強くなります。
【サイズ選びの最終チェックリスト】
ボードのスペック表を見る時は、以下の順序で確認しましょう。
- 【浮力】 計算式「(体重+荷物)×2.5」を満たしているか?
- 【 幅 】 32インチ(81cm)以上あるか?
- 【厚み】 体重に合わせて12cmか15cmかを選んだか?
SUPボードの素材と価格の違い
1. シングルレイヤー(安価・エントリーモデル)
最も基本的な構造で、ドロップステッチ(核となる繊維)を1枚のPVCシートで覆っただけのものです。
- 価格帯: 3万円〜6万円前後
- 特徴: 非常に軽量で、女性でも片手で持てるほど軽いです。
メリット:
- 安い。持ち運びが楽。
デメリット:
- 剛性が低い: 空気をパンパンに入れても、大人が乗ると重みでたわんでしまい(バナナ現象)、水に沈んでいるような感覚になり進みません。
- 耐久性: 薄いため、岩や岸壁に擦るとパンクするリスクが比較的高いです。
- 「ひと夏だけ遊べればいい」「子供用の浮き具として使う」という割り切った用途向け。
2. ダブルレイヤー・フュージョン(中〜高価格・スタンダード)
現在のSUP業界の標準(スタンダード)となっている構造です。
PVCシートを2枚重ねていますが、昔のように接着剤でベタベタ貼るのではなく、熱圧着(フュージョン技術/MSL)で一体化させています。
- 価格帯: 8万円〜15万円前後
- 特徴: 2枚重ねの強度と、接着剤を使わない軽量化を両立しています。
メリット:
- カチカチの硬さ: 推奨気圧(15psi以上)まで入れると、まるでハードボードのように硬くなり、たわみません。
- 高耐久: 擦れや衝撃に強く、長く使えます。
デメリット:
- シングルレイヤーよりは少し重くなりますが、気にならないレベルです。
- 「本格的に趣味にしたい」「数年は使いたい」と考えるなら、間違いなくこのタイプを選んでください。
3. カーボン(高価格・ハイエンド)
主にハードボード(たまにインフレータブルの補強材)に使われる、軽量かつ最強の素材です。
- 価格帯: 20万円〜40万円以上
- 特徴: 繊維強化プラスチック(炭素繊維)を使用しており、圧倒的な軽さと硬さを誇ります。
メリット:
- 究極の軽さ: レースや波乗りでのパドル操作が劇的に軽くなります。
- ダイレクトな反応: 漕いだ力が100%推進力に変わる感覚です。
デメリット:
- 衝撃に弱い: 一点に強い力がかかると割れやすいため、扱いに注意が必要です。
- 高価: 初心者にはオーバースペックになることが多いです。
- レースで表彰台を狙う人、波乗りでプロのような動きをしたい人。
【素材別:失敗しない選び方の目安】
【裏技】賢い選択肢!「中古ボード」という選択
新品のボードも魅力的ですが、実はSUPボード選びにおいて「中古ボードを探す」というのは、経験者こそが知る賢い選択肢(裏技)です。
特にハードボード(カーボンやエポキシ製)の場合、新品だと20万円〜30万円するモデルが、中古市場では半額以下で手に入ることがあります。
僕自身も、現在使用しているハードボードの多くは中古で購入したものです。
「傷は勲章」と割り切れば、最高のパフォーマンスを低価格で手に入れることができます。
ただし、「狙うべき中古」と「避けるべき中古」があります。
ここを間違えると安物買いの銭失いになるので注意が必要です。
1. 中古で狙うなら「ハードボード」一択
中古市場で最も価値があるのは、「ハードボード(SUPサーフ用やレース用)」です。
- 理由: ハードボードは構造が単純(フォーム+樹脂)なので、経年劣化が少なく、リペア(修理)もしやすいからです。
- メリット: 前のオーナーが丁寧に扱っていた場合、数年落ちでも性能は新品と変わりません。定価25万円のカーボンボードが、8〜10万円で手に入ることも珍しくありません。
2. インフレータブルの中古は「要注意」
逆に、空気を入れるインフレータブルボードの中古購入は、初心者にはおすすめしません。
- 理由: ゴム素材や接着剤には「寿命」があるからです。見た目が綺麗でも、経年劣化で接着面が剥がれやすくなっていたり、目に見えないピンホール(微細な穴)が開いているリスクが高いです。
- 判断基準: 「1〜2回しか使っていないほぼ新品」ならアリですが、数年使い込まれたインフレータブルは避けましょう。
3. 失敗しない中古ボードのチェックポイント(ハードボード編)
ショップや個人売買で実物を見る時は、以下の3点を必ず確認してください。
剥離(デラミネーション)がないか?
- ボードの表面を指で押してみて、ペコペコと浮いている箇所がないか確認します。特にデッキパッド(足を置く場所)周辺は踏み込まれて剥離しやすいです。ここが剥がれているボードは修理が高額になるため避けましょう。
水を吸っていないか?(重さチェック)
- 過去のクラッシュ(ひび割れ)から水が侵入し、フォームが水を吸って重くなっている場合があります。同じサイズのボードと比べて異常に重くないか確認しましょう。
フィンボックスとハンドルの状態
- 最も負荷がかかるフィンボックス(フィンの差込口)や、持ち手のハンドル周辺に亀裂が入っていないかチェックします。
一緒に揃えるべき必須アイテム(SUP特有)
ボードが決まったら、次は「快適に遊ぶためのギア」選びです。
実は、SUPの楽しさは「ボード5割、道具(パドルなど)5割」と言われるほど、周辺アイテムの質が重要です。
特に激安の「全部入りセット」を買う場合、付属している道具の品質が低すぎて、すぐに買い替える羽目になることがよくあります。
ここでは、最初からこだわっておくべき4つの神器を紹介します。
1. パドル(The Engine)
SUPにおいて、ボードが「車体」なら、パドルは「エンジン」です。エンジンの性能が悪ければ、どんなに良い車体も進みません。
アルミ製(セット付属品に多い)
- 特徴: 重い(約1kg〜)。接続部分がガタつきやすい。水に浮かないものもある。
- デメリット: 1時間のクルージングで数百回〜数千回漕ぐことになります。この「数百グラムの差」が、後半の腕の疲れに劇的に響きます。
カーボン・グラスファイバー製(別売り・推奨)
- 特徴: 圧倒的に軽い(約500g〜700g)。しなり(フレックス)があり、漕ぐ力が推進力に変わりやすい。
- おすすめ: 「カーボン」または「ハイブリッド(カーボン×グラス)」を選びましょう。疲れ方が全く違います。
2. リーシュコード(命綱)
サーフィン同様、ボードと自分の足を繋ぐコードですが、SUPでは選び方に少し違いがあります。
コイルタイプ(電話線のようなグルグル)
- 用途: クルージング、レース、釣り
- 理由: 水面に引きずらないため水の抵抗がありません。足に絡まるストレスも少ないです。
ストレートタイプ(普通の紐状)
- 用途: SUPサーフィン(波乗り)
- 理由: 波に巻かれた際、コイルだとボードがバチン!と跳ね返ってきて危険なため、あえて抵抗のあるストレートを使います。
3. ライフジャケット / フローティングベスト(PFD)
SUPはサーフィンよりも沖に出やすく、風に流されるリスクがあります。「泳げるから大丈夫」という過信は捨ててください。
- 固型式(発泡素材): ベストの中に浮力体が入っているタイプ。転倒時の衝撃吸収にもなり、再乗艇(ボードに戻る動作)もしやすいです。
- 膨張式(腰巻きタイプ): 普段はポーチのような形状で、紐を引くと膨らみます。動きやすく、SUPヨガや経験者に人気です。
4. 電動ポンプ(インフレータブル派の神アイテム)
インフレータブルボードを買うすべての人に、声を大にして伝えたいのがこれです。
手動ポンプで既定の気圧(15psi前後)まで入れるのは、準備運動の域を超えた「筋トレ」です。夏場なら、乗る前に汗だくでバテてしまいます。
電動ポンプ(シガーソケット給電 / バッテリー内蔵)
- 車のシガーソケットに繋いでスイッチを押すだけ。約10分で自動で止まります。
- その間に着替えや準備ができるため、時間を有効に使えます。
- 価格は5,000円〜1万円程度ですが、「絶対に買ってよかった」と思える投資No.1アイテムです。

よくある質問(FAQ)
SUPボードの購入を検討している方から、頻繁にいただく質問をまとめました。 決して安い買い物ではありませんので、疑問や不安をここで解消しておきましょう。
Q1. Amazonや楽天で売っている2〜3万円の激安SUPボードでも大丈夫ですか?
A. 「夏休みに数回、子供と水遊びをする程度」ならOKですが、「趣味として続けたい」ならおすすめしません。
2〜3万円のボード(主にシングルレイヤー構造)は、価格を抑えるために耐久性と剛性を犠牲にしている場合が多いです。
- デメリット1(たわむ): 大人が乗ると重みで「くの字」に曲がってしまい、水に沈んでいるような状態で全然進みません。
- デメリット2(脆い): 接合部分の接着が弱く、1〜2シーズンで空気漏れが発生するリスクが高いです。
「安物買いの銭失い」にならないためにも、長く楽しみたい方は最低でも5万円〜8万円以上の「ダブルレイヤー(フュージョン)」構造のボードを選ぶことを強く推奨します。
Q2. 結構大きそうですが、女性1人でも持ち運べますか?
A. インフレータブル(空気注入式)なら、問題なく持ち運べます!
インフレータブルボードの重量は、モデルにもよりますが約8kg〜12kg程度です。これは「少し重めの海外旅行用スーツケース」と同じくらいです。 空気を抜けば専用のバックパックに全て収まるので、背負って移動できますし、膨らませた後もボード中央にある「キャリーハンドル」を持てば、女性でも脇に抱えて水辺まで運べます。
- ポイント: どうしても重い場合は、別売りの「SUP用キャリーストラップ(肩掛けベルト)」を使うと劇的に楽になりますよ。
Q3. インフレータブルはパンクしませんか? 穴が開いたら修理できますか?
A. そう簡単にはパンクしませんが、もし穴が開いても自分で修理可能です。
SUPボードの素材(PVC)は非常に分厚く頑丈で、浮き輪やゴムボートとはレベルが違います。岩に少し擦った程度ではパンクしません。 ただし、鋭利な金属や牡蠣殻などに強くぶつかると穴が開くことはあります。
その場合でも、ほとんどのボードに付属している「リペアキット(補修パッチと接着剤)」を使えば、自転車のパンク修理と同じ要領で、誰でも簡単に直すことができます。
まとめ:あなたに最適なSUPライフを
ここまで、SUPボードの選び方について長く解説してきましたが、いかがでしたか?
「種類もサイズも多すぎて、結局どれを選べばいいのか分からなくなってきた…」 もしそう感じているなら、最後にシンプルなおすすめをお伝えします。
迷ったら、まずは【インフレータブルのオールラウンドボード】を選んでください。
- 長さ: 10’6″ 〜 11’0″
- 幅: 32インチ(約81cm)以上
- 構造: ダブルレイヤー(フュージョン)
このスペックを選べば、湖でのクルージング、子供とのタンデム、ちょっとした釣り、そして小さな波でのサーフィンまで、SUPの遊び方の80%をカバーできます。間違いなく、あなたの週末を最高に楽しくしてくれる「万能な相棒」になるはずです。
SUPは単なるスポーツ道具ではありません。 水の上に立って見る朝日の美しさ、波と一体になる感覚、家族や仲間と過ごす海での時間。そうした「かけがえのない体験」へのチケットです。
最初の一本選びは勇気がいりますが、この記事があなたのSUPライフの素晴らしいスタートの手助けになれば、これ以上嬉しいことはありません。
さあ、次は具体的なモデルを見ていきましょう! 数あるブランドの中から、今回解説した「失敗しない条件」をクリアした、コスパ最強のおすすめボードを厳選しました。

